概 要
退職給与引当金とは、従業員が全員自己都合で退職したと仮定し、支給する退職金を見積り、これを引き当て計上するものです。退職給与規程を定めている法人が、損金経理によって退職給与引当金に繰り入れた金額のうち、繰入限度額までの金額は、その事業年度の損金に算入します。
平成10年税制改正において、退職給与引当金制度の累積限度額が期末要支給額の100分の20に引き下げられました。但し、平成14年度までの間は、当該割合について、平成12年度は100分の30、平成13年度は100分の27、平成14年度は100分の23とする経過措置が講じられています。退職給与引当金に関する計算は「退職給与引当金の損金算入に関する明細書」で行います。
退職給与引当金の対象者
退職給与引当金の対象となる者は、使用人に限られます。使用人兼務役員や役員に対するものは、対象となりませんので注意してください。
退職給与規程の範囲
退職給与引当金を計上できる法人は、次の条件を満たす退職給与規程を定めていなければなりません。
- 労働協約により定められているもの。
- 労働基準法または船員法の規定により行政官庁に届け出た就業規則に定められているもの。
- 労働基準法または船員法の適用を受けない法人が、所轄税務署長に届け出たもの。
(注意点)
- 常時10名以上の使用人がいる場合は、労働基準監督署に就業規則を提出しなければなりません。
- 退職給与規程に関する書類の提出
新たに退職給与引当金の規定の適用を受けようとする法人は、前事業年度終了の時における退職給与規程と、その事業年度終了の時までに退職給与規程が改正された場合には、その改正後の退職給与規程の写しを、確定申告書の提出期限までに納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
繰入限度額の計算
退職給与引当金の繰入限度額の計算方法は、要支給額基準、累積限度額基準、及び給与総額基準の3つがあります。繰入限度額計算の退職給与規程の違いにより、次のようになります。
(1)選択できる繰入限度額計算方法
- 要支給額基準と累積限度額基準
次のような退職給与規程を設けている法人は、要支給額基準と累積限度額基準のいずれか少ない金額が繰入限度額となります。
- 労働協約による退職給与規程を設けている法人
- 就業規則又は税務署長に届け出たものによる退職給与規程を設けている法人で、
労働者の過半数を代表する者の意見や労働者への周知等を記載した書面を税務署長に届け出ている場合
- 要支給額基準・累積限度額基準・給与総額基準
次のような退職給与規程を設けている法人は、要支給額基準・累積限度額基準・給与総額基準のいずれか少ない金額が繰入限度額となります。
- 就業規則または税務署長に届け出たものによる退職給与規程を設けている法人(上記?2.の場合を除く)
(2)繰入限度額の計算方法
- 要支給額基準
繰入限度額=当期末退職給与要支給額−当期末在職使用人の前期末退職給与要支給額
- 累積限度額基準
- 給与総額基準
繰入限度額=当期末使用人の給与総額×6%
※退職給与要支給額とは、期末に在職する使用人全員が自己都合で退職したとした場合における退職給与の額のことをいいます。
退職給与引当金の取崩額
次のような事由が生じた場合には、退職給与引当金のうちそれぞれの取崩し額を益金の額に算入します。
| 取崩事由 |
取崩金額 |
| 使用人が退職した場合 |
その使用人の前期末退職給与要支給額 |
累積限度額基準における当期末退職 給与の要支給額の33%を超える |
その超える部分の金額 |
退職給与引当金の目的は、退職した使用人に退職給与を支給するのに備えるためのものです。それ以外の目的で法人が任意に取り崩した場合は、退職給与引当金の全額を取り崩し益金の額に算入しなければなりませんので注意してください。
本書の対象となる決算月(一年決算の場合)
この「税務申告」の内容は平成13年3月〜平成14年2月が決算月となる法人を対象としています。税制に関する法令等は改正されることが多いため、必ず対象となる決算月を確認してください。
なお文書内容は平成12年9月現在の税法等に基づいて作成されています。